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今日は桐朋でお話 [ひとりごと]

 明日、と書こうと思って、時計を見たら、もう日が変わっていました。
 10月も、もう終わりだぁ。
 というわけで、本日17:40から桐朋学園大学音楽学部の就職ガイダンスで、お話をします。

 タイトルは、「あなたの音楽が、誰かのためにできること」。

 レジュメはもうずいぶん前に作っておいたので(きっと忙しくなるだろうと、時間のあるときに纏めて考えておく。一種の貯金ですね)、ホールから戻ってきて、一息入れた後、だいたい頭の中で、話す内容をざーっと流してみました。そんなことをしていたら、時計が12時を回っていて、おっと、そろそろ寝なければ。

 明日話すかどうかわかりませんが、そんなお話シミュレーションをしながら、思ったこと。

 音楽家の仕事というのは、「イエスの来訪を待つ、ひとりの娘」の話のようだなあ。

 細部は忘れてしまったのですけれど、たぶん、幼稚園のときか、小学校低学年のときに「聖書の時間」(ミッションだったからねえ)に聞いた説話です。
 ある日、ある場所で(えらく大雑把な設定)、ひとりで暮らす娘がお祈りをしていたら(キリスト教徒の日常ですねえ)、イエスさまが顕れて(この展開がすごい!)、「今日お前のところに訪ねていくから」と仰った(うわ、大変!)。
 信心深いこの娘は、もう大喜びで、いったい何時においでですかとアポの確認もせずに(蛇足)、家の掃除をしたり、イエスさまはどんなものを召し上がるのかしらとあれこれ考えたりで大忙しになりました。
 で、そこへ次々と不思議な客が来るのですよ。どんな客かは忘れたけれど、娘はいちいち「ああ、いまイエスさまを迎える準備をしているのに、忙しいのに」と思いつつ、根が善良ですから、心を込めてお世話をしたり、相手をしたりしていく。
 日も傾き、やがて夜のとばりも降りてこようというときになっても、イエスさまはおいででない。疲れて眠ってしまった娘の夢に、イエスが顕れて言うに、「今日お前が親切にしてくれたひとりひとり(そう、御乞食さんもいた)がわたしだったのだよ。おまえの信仰の深さがとてもよくわかった」…。娘は夢から覚めて、とてもとても神様に感謝しました、とさ。

 音楽家という人たちは、音楽の本質とか、芸術性とか、真の美しさとか、目に見えない価値を求めて、つまり目に見えない音楽の神さまのために一生懸命音楽をし、そのために自分を磨いていたり、勉強したりしています。でも、実際に聞いている人たちは、いわばフツーの人間たち。ききながら、全然別のことを考えていたり、突拍子もない感想を抱いたり、うまいの下手のと値踏みをしたり。音楽家が「もー、こんな人たちのために弾いてるんじゃないんだから!」って頭にきても仕方がない聴き手たちが存在するのは確かです。

 でもね、そんなフツーの聴き手たちに向かって、音楽家さんたちは演奏するのです。いつか音楽の神さまが訪ねてくると信じて。そして、きっと音楽の神さまは、このイエスさまと同じことを言いそうだなあ…。

 ま、それだけのことなんですけどね。

 おっと、ほんとにねよ。

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コメント 3

桐朋学園卒業生

10月30日、桐朋学園でお話を聞かせていただきました。貴重なお話をありがとうございました。帰途電車の中で本を読みましたが、ビジネスには共通する点があるものだと感じました。まだ読みかけですが。
この先読み進めるのが楽しみです。
また先生があんなにフランクな方だとは思いませんでした。憧れのサントリーホールのプログラム・ディレクターですから。業界風な方かと思っていました。
ところで「プログラム・ディレクター」の仕事内容を質問し損ねてしまいました。コンサートのプログラムを企画する仕事と理解すればよろしいのでしょうか?
ブログに先生の仕事模様を掲載していただければうれしいです。
それではおやすみなさい。
by 桐朋学園卒業生 (2008-10-30 23:09) 

Minochan

今の肩書きはプログラミング・ディレクターですが、この仕事、肩書きが仕事の内容を定めるというものでもありません。

どこのホールでもたいていはスタッフの人数が少なく、ひとりがいくつもの仕事を兼務して、全体の仕事を動かしています。ですから、20年以上もやっていると、弁当の手配の仕方から、入国管理法や非居住者の税金のことまで、ベートーヴェンの最新の校訂版のことから、譜面台にのせる黒い板紙の理想的な高さと幅まで、少量多種の(浅く広い)実務を覚えて、それを組み合わせて日々の仕事をこなしていきます。

ホールごとにそういう仕事をしている人の肩書きは違いますけれど、やっている仕事はたぶんそんなに違わないと思います。

 逆に言えば、こういう仕事をしたい人に求められる資質のひとつもこれでおわかりになるかと思います。
 つまり、細かいたくさんの仕事を一度に動かしていきながら、ひとつひとつの仕事を手早く仕上げ、終わったことは忘れて(やったことは覚えておいて)、すぐ次に行く仕事離れの良さ。これは自分の専門じゃないから、という台詞だけはぐっと飲み込んで、わからないことでも(新しい消費税が導入されても)びびらずに勉強して、挑戦する、みたいな、資質ですね。

 あんまり答えになっていないかもしれませんけれど、毎日そんなこと、やってます。

by Minochan (2008-11-01 16:23) 

桐朋学園卒業生

回答ありがとうございました。ディレクターも雑用もするのですか。知りませんでした。ブレインとスタッフのまとめ役なのかと漠然と考えていました。

>どこのホールでもたいていはスタッフの人数が少なく

スタッフは何人くらいなのですか?
客席の収容人数は2006名なのですよね。オーケストラの人数が約30名として。サントリーホールは日本一のホールだと思っていますので、スタッフが少ないとは考えられませんでした。

>これは自分の専門じゃないから

この言葉つい使ってしまいます。だから仕事が少ないのでしょうね(笑)簔口さんが翻訳家だったのに音楽ディレクターになった経緯をもう少し詳しく聞かせていただけたらと思います。それこそ専門外ですよね。リートやオペラなどは語学と密接な関係にあると思いますが。

お時間がありましたらお聞かせください。
よろしくお願いします。

風邪がはやっていますので、お身体ご自愛ください。


by 桐朋学園卒業生 (2008-11-07 22:34) 

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